強制的な差し押さえ
皆さんは、差し押さえが一体どのようなものかご存知でしょうか。
「差し押さえ」という言葉は、おそらく多くの方がテレビのニュースなどで一度は耳にしたことがあるはずです。
しかし、その内容についてご存知の方は決して多くはないはずです。
そこで本ページでは、この差し押さえが一体どのようなものなのかを紹介していきたいと思います。
差し押さえとは何か
借金というのは当然その全額を返済すべきものですが、債務者の中には返済を怠る人間が必ず一定割合で存在します。
しかし、それでは債権者が不利益を被ってしまうため、これを解消するための手段が用意されています。
それが、今回取り上げる差し押さえです。
差し押さえとは、借金の返済を怠っている債務者に対して、国が債権者に代わって換金可能な財産を確保して取り立てを行えるようにする手続きのことです。
差し押さえの決定及び命令は裁判所が行います。
例えば、債権を回収するために債務者の財産を競売にかける場合、競売の前に債務者が財産を処分する可能性があります。
こうした事態を防ぐために裁判所の決定・命令を経て財産の確保を行う手続き、これが差し押さえです。
このケースで言えば、債務者の財産を差し押さえによって確保した上で、その財産を換金するために競売を行いって債権を回収することになります。
差し押さえと強制執行
上記の通り、借金の返済を怠っている債務者は差し押さえを受ける可能性があるわけですが、それとは別に強制執行を受ける可能性もあります。
では、この両者には一体どのような違いがあるのでしょうか。
まず差し押さえについてですが、これはすでに述べた通り返済を怠っている債務者の財産を確保することを言います。
そして一方の強制執行は、債権者への支払い分を債務者の財産から取り立てることを言います。
つまり、単に差し押さえを行っただけでは債権者は支払いを受けることができず、強制執行が行われて初めて返済の不足分を取り立てることができるわけです。
従って、差し押さえというのは強制執行の前段階であると考えることができます。
ただし、差し押さえをしたからと言って必ず強制執行が行われるというわけではなく、そこはケースバイケースとなります。
また、差し押さえと強制執行はどちらも強制的な措置であるということも覚えておかなければなりません。
強制執行は読んで字のごとくですから言うまでもありませんが、差し押さえについても財産確保の手続きは強制的に行われることになります。
差し押さえの対象となるもの
最後に差し押さえの対象となる財産について紹介していきたいと思います。
まずは何と言っても給料(給与)です。
給料は差し押さえが行われる際に第一のターゲットとなる財産です。
ただし、給料であればその全額が差し押さえられるというわけではなく、その額には上限が定められています。
例えば、借金やローンといった私的な債権の場合、「手取りの4分の1までしか差し押さえできない」と法律によって定められています。
もっとも、この上限規定は誰に対しても適用されるということではなく、33万円を超えた部分については全額が差し押さえの対象となります。
給料については以上の通りですが、差し押さえの対象となる財産にはこの他にも、預貯金、不動産、自動車などがあります。
またピアノや美術品、大画面テレビ、高級家具などの競売で換金しやすいものも差し押さえの対象となることがあります。